渡辺謙との共演に喜び

――源内は田沼意次の知恵袋としても活躍したため、田沼を演じた渡辺謙さんとのシーンが多くありました。渡辺さんとはどんな会話をしましたか?

 謙さんとは、田沼と源内としてお芝居させていただけてすごく嬉しかったです。 田沼といえば、今では財政改革をしようとしたすごく頭の切れる男であるという見方もありますが、演じている謙さんによって新しい形の非常に人間くさい田沼になったと思っています。

(『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』/(c)NHK)

謙さんは、ちゃんと人を見ていて、ともに芝居でセッションしていくことをすごく楽しんでくださる素敵な方。 第16回の源内が牢屋に入れられているシーンでは、僕が座ったまま動かないでいたら、「ずっと座っていなくていいよ。ずっとピンと張っていたら、本番で逆に切れるときあるから」って声をかけてくれました。

源内は、田沼のことが大好きでした。ブロマンス(男性同士の近しい関係)的な繋がりがあった。心の奥底で通じ合っていた。そこをうまく虚々実々で、謙さんは接してくれました。クランクアップのとき、一緒のシーンで終わったんですが、握手して「これで終わらせないぞ、俺ちゃんと森下さんに言って、(源内を)もう1回出してもらうようにするから大丈夫。やろうぜ」と言ってくださった。「もうこのあと(自分の)前髪切っちゃうんですよね」と思っていましたけど(笑)。そういう言葉をかけてくださるって嬉しいじゃないですか。 渡辺謙さんに、そういう気さくさがあって。