自分の夢を追い求める決心

パン食い競走をめぐる話はまだ終わらない。第14回、競走中に倒れそうになったのぶを、千尋が支えてくれていたことが分かる。

ラジオも譲られているから、のぶは「ありがとう」と深く感謝した。これに対し千尋は「ワシ、大好きです!」と声を張り上げる。近くにいた嵩はうろたえ、蘭子とメイコは目を見張った。

もっとも、千尋の次の言葉は「朝田パンのあんぱん」だった。嵩は安堵するが、今後どうなるかは分からない。含みを持たせた。

パン食い競走にまつわる最大のエピソードは、のぶが自分の夢を追い求める決心をしたこと。事実上の1等になったことにより、どんな夢でもかないそうな気持ちになった。

のぶは第4回で急死した父・結太郎(加瀬亮)が遺した言葉も思い出す。

「なりたいものが見つかったら、思いっきり突っ走れ」

見つけた夢は学校の教師。女子師範学校に進むことを心に決める。ここでも中園氏の腕が見せつけた。朝田の家族関係と家族それぞれの人間像を一度に浮き彫りにしたからである。