鮮明になった「家族の姿」

家族の姿を早い段階で鮮明にした意味は大きい。特に、ヒロインの人格形成に影響が大きい母親の内面を描くことは欠かせない。母親を見せることでヒロインの将来像も想像しやすくなる。

これを教えてくれたのはNHKドラマ制作者の1人。「朝ドラはホームドラマでもあるから、序盤で母親ら家族の姿を詳らかにするのはセオリー」。

『おしん』(1983年度)以前から、『カムカムエヴリバディ』『虎に翼』まで、名作と呼ばれる朝ドラはこぞってこのセオリーを守っている。

第11回から14回までに今後のストーリーの礎となるさまざまなエピソードが描かれたが、荷余り感やつながりの悪さを思わせなかった。パン食い競走という共通軸があったからだ。