3ヵ月の休暇を取りたいけれど

清水 「恥ずかしい」といえば、小木さんは去年、久々にドラマに出てたね。でも、演技って恥ずかしくない?

小木 確かに、居心地いいものではないですね。

清水 大久保さんの演技は、自然なの。私にとってその基準は、演じることを平気そうにしてるかどうかなんだけど。

大久保 私の代表作は、去年の『緊急取調室』ですね。見ました?

小木 代表作って。(笑)

大久保 被疑者の女社長役というメインゲストだったんですけど、あの時は、思い切り役に入り込めました。

小木 大女優みたいなこと言ってる。(笑)

大久保 女優の仕事は楽しいし、自分ではもっとやっていきたいんですよ。もともと20代の頃、下北沢の小劇場系で劇団みたいなことをやってましたし。やっぱり朝ドラか大河に、1回は出ておきたい。

清水 そこにいるマネージャーさんが、困った顔してるよ(笑)。じゃあ、女優への転身もあり?

大久保 正直、バラエティでプライベートを切り売りするようなトークが、だんだんしんどくなってきていて。それで、うまく個性派の女優に転身できたら最高だな、なんて軽く思っていたこともあったんですけど、実際にドラマの現場に入ると、役者の世界はやっぱり厳しいな、と反省しました。演技なんてセリフを覚えて、立ち位置を間違えなければ、ある程度やれるんじゃないかと思っていたけど、そんなの大間違い。

小木 役者さんたちって、表情もセリフの言い方も、いろんなオプションを持ってる。監督から「もう一度やってみて」と言われると、ごく自然に、違うパターンの演技を見せられるし。芸人が、いずれは役者で、なんて簡単に考えちゃダメだよね。

清水 じゃあ、小木さんがこれからやりたいことは?

小木 俺はとにかく、3ヵ月休みがほしいです。海外に行きたい。50で見える景色と、60代や70代で見える景色は違うと思うし、気力体力があるうちに、ゆっくり休みを取りたい。いま一番望むのは、3ヵ月休んでもちゃんと仕事で元のポジションに戻れるシステムがほしい、ということです。

大久保 3ヵ月なんてあっという間のはずなのに、戻ってきた時に同じ状況から仕事を再スタートできるかを考えただけで、すごく不安になるよね。だけど、最近は留学で芸能活動を休止する人は増えてるよね。

小木 俺は留学とか育休とかじゃなくて、自由な休暇として休みたいの。昔から、大橋巨泉さんに憧れてたんですよ。ああいうセミリタイアみたいな感じで仕事できたらなあ。

清水 世間も、おぎやはぎならしょうがないって言いそうだけどね。あとコンビだと、相方に迷惑かけちゃう心配もあるから、長期の休みは取りにくいのかな。

大久保 せっかく休みを取っても、脱力系のすごく面白い2人組が出てこないか、ずっとヒヤヒヤしながらテレビやラジオをチェックしてたりして。(笑)

清水 休むには、巨泉さんくらいの器がいるってことだから、そんな心持ちになれるまで、いまは現状維持で仕事するしかないね。

大久保 じゃあ私は老後に備えて、今年はVIO脱毛をやりますよ。清水さんも一緒にどう?

清水 じゃ、そろそろ私も抜いてもらいますか。


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