いつか、のために備えていること
大久保 もしこれから先、誰かをいいな、と思ったとして、もうすぐ50の私が、その人と残りの人生の約20年間を一緒に過ごしますよね。でも20代で結婚した人は、50年分の関係性を築いている。
小木 そうだね。
大久保 相手に下の世話が必要になった時、50年も一緒にいれば、一緒に過ごしたなりの諦めを持てるだろうけど、10年や20年しかいない相手に、そんな諦めを私は持てるのかな、と思っちゃって。
小木 そういう年月の重さっていうのは、あるね。夫婦だけじゃなくて、たとえば親を自分の手で介護したいと思えるのも、生まれた時から世話になってるという気持ちがあるからだし。
大久保 清水さんは、旦那さんの下の世話できる?
清水 うーん。するけど、親が介護で苦労してた姿を見てるから、2、3日ですぐにプロに相談するだろうなあ。
大久保 2、3日って短くないですか?(笑)
清水 でも、相手も自分のそういう姿を見られたくないというのもあるし。それだけに、プロの存在って大きいんだよね。
小木 俺も大久保さんと同い年なので、自分もいつ介護が必要な体になるかわからない。娘がなにかしなければならなくなった時のことを考えて、俺はもう、VIOを脱毛してます。
大久保・清水 え……?
大久保 性的なことじゃなくて、下の世話をする人のことを考えて? すごい優しいじゃん。
清水 なんで優しいのよ。
小木 清水さん、Oっていうのはつまり肛門のまわりなんですけど、ここに毛があると、下の世話をする時に拭くのが本当に大変なんですって。菌も繁殖するし。介護する側は心が折れるらしい。赤ちゃんのお尻は拭くのがラクじゃないですか。あれと同じことです。
大久保 そうか、それがいつしか憎しみに変わって、虐待になったりもする。
小木 そこに毛を生やしていたばっかりに、首を絞められて終わりとかね。だから、もう女性のためだけのケアじゃなくて、今はおっさんたちの間でVIO脱毛が秘かなブームなんですよ。将来、世話になる人のためにやっておこう、と。
清水 そうか、介護する人を思ってのことなんだ。
大久保 私も誰に看てもらうかわからないし、いまやるべきことはVIO脱毛なのかも。でも、さすがに恥ずかしくなかった? 絶対、「これが大久保佳代子の肛門か」って思われるよね。
小木 相手はプロで、何千人と処理してきてるんだから、そんなこと思わないよ(笑)。本当に大事だよ、そういう一歩を踏み出すのは。