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死別による悲しみは十人十色。癒えるのにかかる時間にも個人差があります。時間とともに変化する心の状態を知り、悲しみに向き合うヒントを試してみませんか(構成:内山靖子 イラスト:いだりえ)

心が痛むときに生じる「グリーフ」とは

人生においてもっともつらく悲しい体験のひとつは、大切な人との死別と言えるでしょう。とくに年齢を重ねると、親を亡くしたり、長年連れ添った配偶者や親しい友人を見送ったりする機会が増えてきます。

高齢になると、子どもが先に亡くなる逆縁を経験する人もいますし、家族同然に暮らしてきたペットに先立たれることも。悲しい別れが相次いで、気持ちがふさいでしまうこともあるでしょう。

そんな心が痛む体験をしたときに、誰にでも生じるのが「グリーフ」と呼ばれる反応です。これは日本語で「悲嘆」のこと。「悲嘆」は単に悲しみだけを意味するのではありません。

大切な人が亡くなった直後に感じるショックや、心にぽっかりと穴が開いたような喪失感、「なぜ自分より先に死んでしまったのか」という怒りや苛立ち。また、「もっとこうしてあげればよかった」という罪悪感や自責の念など、「悲嘆」にはさまざまな感情が入り混じっています。