「記念日反応」と呼ばれる揺り戻し
そもそも「悲嘆」とは、「愛おしさ」の裏返し。亡くなった人への愛情があるからこそ、悲しみや苦しみが生じてしまうのです。肉体が失われたとしても、その人を大切に思う気持ちはずっと変わらないはず。そういう意味では、それに付随する「悲嘆」も永遠になくならないし、無理になくそうとする必要はありません。
ただ、悲しみや苦しみに圧倒されて、生活が立ち行かなくなると問題なので、悲しみを自分で抱えられるように癒やしていくことが必要になってくるのです。
まず知っておいてほしいのは、悲しみのどん底に突き落とされたような状態は、いつまでも続くわけではないということ。
一般に、「悲嘆」のプロセスは時間とともに変化して、「ショック期」から「再生期」まで、徐々に移り変わっていくと考えられています(<図1>参照)。
もちろん、このプロセスには個人差がありますので、「ショック期」から「再生期」まで一足飛びに回復していく人もいれば、どこかの段階でずっととどまったままという人もいる。
ただ、死別にともなう心の痛みは永遠に続くわけではないことを知っておくだけでも、救いになるでしょう。