堀川 日本では、終末期に病院で苦しみながら、緩和ケアも受けられずに亡くなっていく血液透析患者が多いのが現状です。見守るしかない家族も本当につらい。医師も何とかしたいけれど、腎臓病では緩和ケアが保険診療にならないから、十分なことができないのでしょう。

できれば、患者も家族も納得できる最期を迎えたいもの。腹膜透析はそれを可能にしてくれる治療法だと思うのです。

 そうですね。加えて、腹膜透析は患者さんの状態や状況に合わせて透析液の量や濃度、そして1日の透析時間を調整できます。透析のために生きるのでなく、よりよく生きるために透析のほうを合わせていく。

とくに活動量が少ない高齢者や終末期の腎不全患者さんが、人生の最期をソフトランディングさせることのできる治療法と言えるでしょう。

堀川 今、在宅医療や地域連携を推進する国の方針に沿うとして、腹膜透析にかかわる診療報酬が増額されつつあると聞きました。今後、腹膜透析が選択肢のひとつとして全国に広がっていってほしい。患者も家族も医療者も、皆が幸せに日常を重ね、終末期を迎えられることを願います。

 

森医師が訪問診療で担当する腹膜透析の患者さん。本対談掲載誌を手に笑顔で(写真提供:森さん)
【参考】日本腎臓学会・日本透析医学会・日本移植学会・日本臨床腎移植学会・日本腹膜透析医学会「腎不全 治療選択とその実際」
https://jsn.or.jp/jsn_new/iryou/kaiin/free/primers/pdf/2024allpage.pdf

腹膜透析についてもっと知りたいときは

●腎臓病なんでもサイト
腎機能低下初期の治療法から透析・移植までの基本情報https://www.kidneydirections.ne.jp/
●おうちで透析腹膜
透析の基礎知識が充実。用語集やQ&Aもある
https://fukumakutouseki.com
●透析病院ドットコム
在宅腹膜透析を実施している全国の病院が検索できる
https://ckd.ishamachi-hospital.com/
●腎臓病SDM推進協会
患者と医療者が共同で治療法を決定することを推進
https://www.ckdsdm.jp/