堀川 日本では、終末期に病院で苦しみながら、緩和ケアも受けられずに亡くなっていく血液透析患者が多いのが現状です。見守るしかない家族も本当につらい。医師も何とかしたいけれど、腎臓病では緩和ケアが保険診療にならないから、十分なことができないのでしょう。
できれば、患者も家族も納得できる最期を迎えたいもの。腹膜透析はそれを可能にしてくれる治療法だと思うのです。
森 そうですね。加えて、腹膜透析は患者さんの状態や状況に合わせて透析液の量や濃度、そして1日の透析時間を調整できます。透析のために生きるのでなく、よりよく生きるために透析のほうを合わせていく。
とくに活動量が少ない高齢者や終末期の腎不全患者さんが、人生の最期をソフトランディングさせることのできる治療法と言えるでしょう。
堀川 今、在宅医療や地域連携を推進する国の方針に沿うとして、腹膜透析にかかわる診療報酬が増額されつつあると聞きました。今後、腹膜透析が選択肢のひとつとして全国に広がっていってほしい。患者も家族も医療者も、皆が幸せに日常を重ね、終末期を迎えられることを願います。
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