ドーパミンの真の役割

ドーパミンは人の気分を良くするだけでない。どれがやる価値のあることかを伝えて、行動に移させるという役割もある。「これは良いことだから時間と集中力を費やす価値がある」と伝えてくるのはもちろん、まずいからこそ大事なことも伝えてくれる。

例えばひとけのない袋小路で恐ろしいドーベルマンに出会ったら、誰だって問題なく犬に集中できるだろう。その瞬間にスマホからメッセージの着信音が聞こえても、遠くで車のエンジンがかかっても、ドーベルマンから視線を外さないはずだ。

(写真提供:Photo AC)

これはドーパミンが他の何にも集中を妨げられないようにして、恐ろしい犬に遭遇するというネガティブな状況下で集中力を保ってくれているのだ。

つまりドーパミンは楽しい気分をくれるだけでなく、ポジティブなことであってもネガティブなことであっても「注目を向ける」ためのモチベーションを湧かせてくれる。「周囲の状況に応じて私たちに興味を持たせる」とでも言おうか、ドーパミンのおかげで世界が興味深くなるのだ。