運動をするとドーパミンレベルが上がる

彼は水泳を始め、2カ月後に受診した時には集中力がかなり改善していた。その頃には自分でも気付いたという。昔からずっと運動が好きだったのは精神面全般に良い効果があったから、特に集中力が上がると感じていたからだと。

この男性だけではない。身体を動かすと奇跡のように集中力が改善することを多くの人が体験している。しかしなぜなのだろうか。脳の報酬系(人間をやる気にさせる、脳の奥深くにある豆ほどのサイズの脳細胞の集まり)は集中力に大きな影響を与え、そこではドーパミンが重要な役割を担っている。そしてADHDの人はドーパミンが少ないか、別の理由で報酬系のはたらきが異なっている。

(写真提供:Photo AC)

運動をするとドーパミンレベルが上がる。特に運動をした後にだ。15~60分後に最高潮になり、心が落ち着き集中できるようになる。走った後にそう感じる人は多いだろう。私自身もサッカーやジョギングをした後は頭の中がすっきりクリアになる。

つまり運動にはADHDの薬と同じ効果があるのだ。どちらもドーパミンレベルを上げるからだが、運動は副作用のない天然の脳の薬だ。