子供にとっても集中力の薬に
ADHDで運動をしている人はうまく活性化されない報酬系のドーパミンレベルが上がることには気付いていないこともある。
しかし集中力と気分が改善することを無意識に感じていて運動を続けているのかもしれない。ハードな運動をする人にADHDが多いのは偶然ではない。有名スポーツ選手、例えば水泳選手のマイケル・フェルプスやアメリカンフットボール選手テリー・ブラッドショーもADHDを公表している。
私の35歳の患者も子供の頃からずっと運動を続けていたが、怪我で中断を余儀なくされたことで「走ることが集中力にどれだけ効果を与えていたか」に気付くことになった。では運動は子供の集中力の薬にもなるのだろうか。何回か運動しただけで集中力は良くなるのだろうか。
そう、運動は子供にとっても集中力の薬になり、数回やっただけで集中力が上がる。しかも長くやる必要もない──ある実験では4分間運動しただけで子供の選択的注意[大量の情報の中からその時に重要なものだけ選択して注意を向ける力]が向上したのだ。
※本稿は、『多動脳:ADHDの真実』(新潮社)の一部を再編集したものです。
『多動脳:ADHDの真実』(著:アンデシュ・ハンセン 翻訳:久山葉子/新潮社)
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