先進国の中でもトップクラスの自殺者数

男性の管理職の死亡率は1980年代から1990年代中頃にかけては他の職種に比べて低い状況でしたが、1990年代後半を境に死亡率が大きく上昇し、他の職種と傾向が逆転したということが報告されています。経済的な不況とともに、管理職の死亡率が逆転してしまったのです。

特にそこで増えた死因が「自殺」だと言われています。2020年の日本の自殺者数は2万1081人で、先進国の中でもいまだにトップクラスです。

『罰ゲーム化する管理職 バグだらけの職場の修正法』(著:小林祐児/集英社インターナショナル)

また、バブル後の自殺者急増は「経済・生活問題」を抱えた中高年男性によるものが大きいことがわかっています。経済的不況とともに働き盛りの管理職の自殺が増えてしまったのです。

せっかく管理職に昇進したにもかかわらず、寿命を縮めてしまうのであれば、「罰ゲーム化」という現象は「苦労するね」「大変だね」程度で済まされるものではなくなります。この因果関係の細かな解明は、今後も強く求められるものです。