大の里の完成した姿を見たい

大の里を独走させないために、同い歳の平戸海をはじめ、後続の有望力士たちが次々に迫ってきます。もちろん、現時点で大の里に先んじている横綱豊昇龍(ほうしょうりゅう)や先輩大関琴櫻も黙ってはいません。他の力士たちが手をこまねいているようでは、大相撲の面白さが半減します。

大の里を簡単に横綱にさせているようでは、大相撲の魅力が薄れていきます。周囲の包囲網をかいくぐって本物の力をつけてこそ「最強の日本出身横綱」の誕生につながります。

双葉山、大鵬、北の湖、千代の富士、貴乃花……。歴史に輝く日本出身の横綱の名は今も語り継がれます。そのすべての横綱が、自分自身の課題を克服しながら頂点に君臨しました。

大の里はこの先10年、大相撲界を引っ張っていかなければならない力士であり、それが可能な逸材です。その完成した姿を見るまでは、私も大相撲への関わりを持っていたいものです。

※本稿は、『大相撲中継アナしか語れない 土俵の魅力と秘話』(発行:東京ニュース通信社、発売:講談社)の一部を再編集したものです。

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大相撲中継アナしか語れない 土俵の魅力と秘話』(著:藤井康生/発行:東京ニュース通信社、発売:講談社)

大相撲アナとして、1988年から2022年まで本場所中継を担当した元NHKアナウンサー・藤井康生。

昭和・平成・令和にわたって角界を見守ってきた唯一のアナウンサーだからこそ語れる、大相撲の魅力とその秘話を余すことなく紹介。