そうこうしているうちに人生の折り返し地点にさしかかり、最近は家庭の悩みが増えた。病院で薬を処方してもらわないと、睡眠をとることも難しい。日々の悩みを先生に話すが、ほかの患者さんが待っていると思うと、すべては話せない。あるとき、先生が言った。
「自分の気持ちをノートに書くといいですよ。なぜこうなったのか、今、何が起きているのか。今後どうしたいのか」
過去に日記をつけたことはあるが、続かなかった。家族に読まれたらと思うと落ち着かないし、仕事で疲れた日はペンをとるのもしんどくなってしまう。しかし先生の話を聞いて、大事なのは《誰かに向けて書く》ことなのだと気づいた。Kちゃんとの文通は、想像以上に私の心の支えになっていたのだ。
LINEで無料通話をしたり、メッセージを送り合ったりできる時代。そのうち文房具屋さんからレターセットのコーナーがなくなるのでは、と少し不安に思う。
実際、手紙を書くのは手間だ。しかし、郵便屋さんのバイクの音、カタンと郵便受けに手紙が入る音、その瞬間の胸の高鳴りは、ずっと変わらない。「送料110円かあ」とブツブツ文句を言いながら切手を貼り、今日も私はポストに向かう。