(イラスト:高橋マサエ)
内閣官房が発表した『孤独・孤立の実態把握に関する全国調査』によると、約1割の人が不安や悩みの相談相手が「いない」と回答。そのうち19.5%の人は孤独感が「しばしば・常にある」と回答しています。
深い関係でなくても、距離が離れていても。ほんの少しのつながりが、大きな支えになることがあります。田川千佳さん(仮名・青森県・会社員・48歳)は、20年以上前からの、一度も会ったことがないけれど、心の支えとなっている友人がいるそうで――。

丸みを帯びたくせ字を見るたびになごんで

私には、一度も会ったことがない友人がいる。知り合ったのは20年以上前。雑誌の「ペンパル募集コーナー」がきっかけだ。

私はおしゃべりだが、大勢でワイワイするタイプではない。社会人として忙しい日々を送るなか、お互いのことをゆっくり話せる友人を心のどこかで求めていた。手紙という距離感も、ちょうどよかったのかもしれない。

ペンネームと年齢、居住地、ひと言メッセージに目を通し、関西地方に住むKちゃんに「友だちになりませんか」と申し込んだ。彼女を選んだのは、「同い年」という単純な理由だ。

それ以来、Kちゃんとはもう何百通も手紙をやりとりしている。20代の頃は仕事や恋愛の話をした。30代は結婚と家庭の話。家族の写真を年賀状にして送り合い、子どもの成長に驚いたり喜んだり。40代の今は、子どもの進学や自身の健康の話で盛り上がっている。

二十数年の間にお互い名字が変わり、住所も何度か変わったが、そのたびにちゃんと伝え、連絡が途切れることはなかった。

丸みを帯びたくせ字には、彼女の可愛らしい性格が表れていて、見るたびに心がなごむ。SNSではわからない《人》を感じる瞬間だ。恋する乙女だった20代の頃と変わらない字で、今は「白髪が」とか「シワが」とか嘆いている。それが妙におかしくてたまらない。