願わくはコスモスの下にて秋死なん
さらに神様がわがままを聞いてくださるなら、あちらに行くのは、秋がええなあ。
ぼく、コスモスが好きなんですよ。丹波に畑をもっていたときには、一面にコスモスの種を蒔いていました。その美しいことといったら!
毎年、台風が来るとぺちゃんこになるんですけど、翌朝には、再びほとんどがスッと立ってるんです。あんなに細い茎のどこに、そんなたくましさが宿っているのか。可憐な姿に秘めた、しなやかな強さにも魅かれます。
ぼくが死んだら、棺の中をコスモスでいっぱいにしてほしいな。願わくはコスモスの下にて秋死なん、です。
どんなお葬式にするかは、もう、決めてるんですよ。ちゃんとマネージャーに伝えてあります。
ぼく、1992年から2023年までの31年間、フジテレビの人気ドラマシリーズ「山村美紗サスペンス 赤い霊柩車」に出演し、石原葬儀社の専務・秋山隆男役を演じてきたでしょ。
そのおかげで全国の葬儀屋さんに顔が利くんです。各地の葬儀社のイメージキャラクターを引き受けてきましたし、今も年に一度、総会に招かれてお話ししたりしてますからね。
そんなコネを利用して、「ぼくが死んだら、赤い霊柩車で運んでちょうだいね」と頼んであるの。今ね、北海道に1台だけあるのは確認済みなんです。「大村崑が死んだ!」と連絡が行ったら、その貴重な赤い霊柩車が大阪まで一路、やってくる段取りになってます。