「頓馬天狗」を歌いながら

「皆さん、こんにちは、大村崑です。今日は、ようこそおいでくださいました。わざわざ私のために足を運んでくださってありがとうございます。みなさんが、いつまでも幸せでありますように、ぼくが天国から責任をもって見守りますのでご安心ください。必ず、長生きできますよ。元気ハツラツ! オロナミンCです。その代わり、今日来なかったヤツめ、覚えておけよーー。化けて出たるからなーーーー」

そこへ、重厚かつ流麗なアナウンスです。「では、みなさん、いよいよ出棺のお時間がまいりました。大村崑とのお別れです。どうぞ、『頓馬天狗』を歌いながら、お見送りください!」

当時、ぼくとキングかなりや子供会が歌った「頓馬天狗」の懐かしくもとぼけた歌が流れます。エキストラを筆頭に熱唱しながら、号泣してもらいましょう。そんな中、ぼくは赤い霊柩車に乗って、「皆さーん、長い間ありがとう、さようならーーーー!」。

喜劇役者のフィナーレとして、どうでっしゃろ? ええと思いませんか?

あとに残る妻の瑤子さんのことだけが心配ですが、みんなに香典をはずんでもらって、余生をのんびり過ごしてもらいましょう。

※本稿は、『93歳、崑ちゃんのハツラツ幸齢期』(中央公論新社)の一部を再編集したものです。

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93歳、崑ちゃんのハツラツ幸齢期』(著:大村崑/中央公論新社)

86歳で筋トレを始めたら、元気に歩けるようになり、不安を感じることがなくなったという大村崑さん。

日々の健康習慣や、人づきあいのコツ、安心を手に入れるための終活、夫婦円満の秘訣など……。

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