原案は…
あらためて、ドラマの原案となるのは、田中ひかるさん著書の『明治のナイチンゲール 大関和物語』(中央公論新社刊)。
同書によれば、女性は専業主婦が当たり前だった明治時代当時、病人の世話をする看護師という仕事はそもそも職業として扱われておらず、命を引き換えにお金を得る、嫌厭される対象とみなされていた、といいます。
そんな中、ヒロインのモデルとなる大関和は、シングルマザーとして東京に上京し、専門的な知識を身に付けた看護婦(看護師)になることを決意。コレラや赤痢などの伝染病で命を落とす人が後を絶たない当時、看護婦養成所の1期生として入学し、卒業後は帝国大学医科大学第一医院でトレインドナースになります。
一方、看護婦養成所にて、大関和と同じ1期生でシングルマザーだった鈴木雅。日本で初めてとなる個人経営の派出看護婦会を設立すると、看護師が病院や病院人のいる家庭へ訪問する体制を整えました。
そこに大関和も加わり、日清戦争後にかけてその規模は拡大。2人は防疫活動でも大きな成果を残し、<看護師>という職業の確立に大きく貢献したとされます。
2026年の朝ドラ『風、薫る』は、そんな2人をモチーフに、”最強のバディ”となった主人公2人がまだ見ぬ世界を切り拓いていくストーリーが描かれていきます。2025年秋にクランクイン、2026年春から放送される予定になっています。
ドラマのストーリーの執筆は、ドラマ『あなたのことはそれほど』『初めて恋をした日に読む話』などを手がけた吉澤智子さんが務めます。
2026年度前期 連続テレビ小説『風、薫る』
【放送予定】2026年春
【制作スケジュール】2025年秋 クランクイン予定
【作】吉澤智子
【原案】田中ひかる 『明治のナイチンゲール 大関和物語』
【スタッフ】
制作統括:松園武大
プロデューサー:川口俊介
演出:佐々木善春 橋本万葉 ほか
『明治のナイチンゲール 大関和物語』(著:田中ひかる/中央公論新社)
今や看護師は、社会に欠かせない職業である。所定の学校で専門知識や技能を身につけ、国家試験に受かってはじめて就くことのできる専門職であり、人の健康や命を守る尊い職業として、広く認知されている。しかしかつては、「カネのために汚い仕事も厭わず、命まで差し出す賤業」と見なされていた。家老の娘に生まれながら、この「賤業」につき、生涯をかけて「看護婦」の制度化と技能の向上に努めたのが、大関和(ちか)である。和は離婚して二人の子を育てる母親でもあった。和とともに看護婦となり、彼女を支え続けた鈴木雅もまた、二人の子を持つ「寡婦」であった。 これは近代日本において、看護婦という職業の礎を築いた二人のシングルマザーの物語である。