念願の友達ができた

入学式後、鼻息も荒く教室に入るとすぐにカナに目が行った。入学初日からド派手な見た目。キラキラ輝いているように見えた。

この子と友達になりたい! こんな子と友達になれたら、私の毎日もきっと明るくなる!

「その髪カワイイね。YUKIちゃんみたい!」「どこ中?」「部活、何入る?」
一生分の勇気を振り絞って積極的に話しかけた。生まれて初めてなので加減がわからない。もういくしかない。周りの「なんだあいつ」みたいな目線は見えないフリだ。あんたらみたいな恵まれたお友達ライフを送ってきたやつにはわかんないんだよ、ここに人生かけてる者の気持ちは!

「グイグイくるね。好きだよそういうの」
よかったー、こういうの好きで! 捨て身の猪突猛進が報われ、友達になれた。数日でカナを中心とした6人グループができあがった。読みどおり、彼女はクラスの人気者になった。

移動教室、ランチタイム、授業中の「二人一組になって」の号令。いつも一緒に行動する友達がいるってこんなに安心感があるのか……。

もう中学のときみたいにチャイムが鳴り次第トイレに立ったり、大袈裟に本を広げて「本を読んでます」アピールをしたりして放課を潰さなくてもいい。いつもカナがお喋りしに来たり、私宛てに手紙を書いたりしてくれた。次の授業でA4プリントの裏に返事を書き、小さな長方形やハートの形に折りたたんでお返しをした。

これこれ、ずっとやってみたかったヤツ! 私のシャーペンが火を吹いた。

グループには反りの合わない子もいた。わかりやすくカナに媚び、私のことは下に見てくるマリや、いつも私やカナにずっとくっついてきて、何でも真似をしてくるお嬢様のルイちゃん。
それでも念願の友達ができて嬉しかった。みんなで演劇部に入り、放課後も休日も一緒に過ごした。

学費を払うのがギリギリの我が家はお小遣いも少なく、学校もバイト禁止。みんなと一緒に下校時にマックでポテトを食べたり、部活の休憩時間にコンビニでお菓子を買ったりはあまりできなかったけど「ダイエットしてるからいい」と誤魔化した。
「いつもダイエットしてるね? 太ってないのに」とルイちゃんが見透かしたように指摘してきたが「女子高生は大体みんなダイエットするもんでしょ」と言っておいた。

ほらね。私だって頑張ればイケてる友達を作れるんだ。私はもう一人ぼっちじゃない!
夢にまで見た、友達のいる学校生活を胸を張って過ごした。

やっと友達のいる生活を謳歌し始めた高校時代のわたし