留学先が私だけニュージーランド

カナは私に、彼女の隣という居場所をくれたしグループのメンバーでいさせてくれた。「ナミはスタイルいいんだからもったいないよ」と、いつもジャージを着てすっぴんで本を読んでいた私に、オシャレやメイク、流行りの音楽や遊びを教えてくれた。

私はこのグループから外れてはいけない。クラスの中、グループの中の自分の位置を常に気にして、いつも彼女に好かれるように過ごしていた。彼女に嫌われて、この地位を失いたくない。

2年になると私たちは学校のプログラムで海外留学をした。留学先は学校がランダムに決めるシステムで、私はニュージーランド、他の5人はオーストラリアだった。

一人だけ仲間外れじゃん。ヤバい! けど……。

焦る気持ちのそばに人間関係から解放されることを楽しみにしている気持ちも見つかった。

毎日メールしてきて自慢したり見下したりしてくるマリからも、髪型やカバンの背負い方、マフラーの巻き方、何もかも真似してくるくせに、私の貧乏を見て「かわいそう。ポテト買ってあげようか?」「留学行けるの?」と言ってくるルイちゃんとも離れられる。何よりも、もう毎日カナのご機嫌取りをしなくて済む。

留学先では文化や言葉の違いなど別の困難もたくさんあったけれど、6人グループの存在をすっかり忘れて過ごせて、寂しくないどころか清々しく感じてしまった。

……あんなに欲しかった友達なのに。

ニュージーランドの思い出