「銀座に行け」は実話
座間先生は「机で学ぶことは何もない、お前ら銀座に行け」と学生たちに伝えます。それは、「なんでもいいよ、適当に遊んでいいよ」「学校なんてつまらないよ」ということではない。デザインや芸術分野、クリエイティブなことに取り組むからには、いろいろなものを吸収したほうがいい。それは、仕事だけでなく生きる上で大事なことだから、社会からいろいろ学ぼうよっていう当時には珍しい考え方をしていた。「銀座に行け」というのは実際にやなせ先生が杉山先生から言われた言葉です。
ドラマにはないのですが、やなせ先生のご著書では、杉山先生の言葉として「君たちはすでに紳士だ。信じた自由に責任を持ちたまえ」というようなことが書かれている。「好きにしてもいいけれど、無責任ではいけない。何より自分の心の声を聴け」ということだと感じています。座間先生もこういう気持ちを持っていた人物でしょう。
クランクインは、カフェで図案科の歌を歌っている時に軍人に注意されるシーンでした。軍人に歌がうるさいといわれても、座間は屈しないで歌い続けるのですが、ものすごく意気込んで演じたら、スタッフから「やりすぎてます」と言われてしまいました。軍人に対抗してしまったんですが、よく考えてみたらね、あんなところで歌っていたら多少注意されてもしょうがないですよね。
図案科の歌は何語かもわからないわけのわからない言葉が続き、呪文のようでした。「これをやります」と言われてからは、毎日唱えていました。途中でメロディーがついたので、繰り返し車でも聞きました。壁に貼って覚えたり、自分で歌って録音して聞く、の繰り返しです。覚えが悪くなっているので一生懸命やるしかなかったですね。