なるべくできるところはやろうと

――第10 週で健太郎に赤紙が届き、第11 週と第12 週では戦争シーンが描かれました。

嵩と二人でカレーを食べながら、赤紙が来たことを報告するシーンは、僕としても初めて見る健太郎だなと思いました。嵩と積み重ねてきた思い出があるからこそ、彼にむかって赤紙という言葉を口にするのがすごく苦しかったですし、カレーの味がしなかったことを今でも覚えています。今後の健太郎の人生においても、すごく記憶に残る日になるんだろうなと思いました。

(『あんぱん』/(c)NHK

戦争のシーンは、撮影しながらも、これが実際に起きていたのだということに、どうしても現実味が感られませんでした。しかし、それでも自分がお芝居で体感して演じなくてはいけないので、大きな責任があるなと思っています。

事前に、当時の戦争について記されている本を監修の方からいただいて。文面だけでは理解できないことは、聞いたり、自分で調べたりして臨みました。上の立場の人から手をあれることがたくさんあったそうで、お芝居の中でも目上の人と接するときには、緊張感を持って身構えていました。

戦争のシーンでは、常に背筋が伸びていた感覚があります。元々、健太郎を演じる上で、福岡から東京に出て来た子の雰囲気が出せればいいなと思い、5キロくらい増やしていたのですが、戦争のシーンに向けて1週間で5キロ落としました。

(『あんぱん』/(c)NHK

戦争中は芋を1日に1本しか食べられなかったとお聞きして、そこから自分も、干し芋を1日1枚食べるという生活を3日くらいやっていました。あとは乾パンを食べてみるなど、なるべくできるところはやろうといった気持ちでしたね。