映画の多様性を支え続けるミニシアター

コロナ禍は政府から外出自粛要請が続き、閉館の危機にさらされました。

そこでミニシアターを守るため、ミニシアターでデビューした映画監督らが発起人となり、有志で「ミニシアター・エイド基金」を立ち上げ、ミニシアター全体を支援するMotionGalleryのクラウドファンディング(CF)で3日弱で1億円、最終的に3万人近い支援者から3.3億円を集めました。

一時はその分配金でしのぎましたが、コロナ禍で遠のいてしまった客足は戻らず、デジタル映写機の買い替え問題、さらに物価の高騰など、困窮の要因が複数重なって、死活問題が続いています。

そこで全国興行生活衛生同業組合連合会(全興連)も24年7月にミニシアターを支援するプロジェクト「#ミニシアターへ行こう」を本格始動させました。今回は、ミニシアターが個別にCFを立ち上げ、事情をページに綴り、支援を呼び掛ける手法をとるもので、全興連の支援プロジェクトはこのサポートを行っています。

昨今はシネコンでもミニシアター系の作品が上映されるようになったことから、その存在意義が薄れつつありますが、ミニシアターの灯を消さないためにも、ミニシアターで映画を観る習慣づくりが重要になってきます。

※本稿は、『映画ビジネス』(クロスメディア・パブリッシング)の一部を再編集したものです。

【関連記事】
<生みの親>とも言える映画プロデューサーの仕事とは?日本映画ビジネスの現状を、業界紙元編集長が解説
『2001年宇宙の旅』1968年公開、スタンリー・キューブリック監督の叙事詩的SF。その先見性に驚く
夏休みに観たい映画BEST『デューン/砂の惑星/Part1,2』砂漠の景色、ティモシー・シャラメ…完璧な映像美に圧倒され…アカデミー賞6部門を受賞したSF映画

映画ビジネス』(著:和田隆/クロスメディア・パブリッシング)

本書は、17年間にわたり映画業界紙の記者として第一線で取材をしていた著者が、映画産業の仕組みと現状を徹底解説する一冊です。

製作から配給・興行、二次使用まで、映画ビジネスの全工程を網羅し、業界の最新動向や課題、未来の展望までを詳しく解説します。

さらには、著者が取材のなかで目撃した映画業界の驚きエピソードも満載。映画ビジネスについて楽しく学ぶことができます。