(写真はイメージ。写真提供:Photo AC)
近年、『ゴジラ-1.0』や『君たちはどう生きるか』など、日本映画が世界的な注目を集めています。そうした状況を受けて、「日本映画界では世界を見据えた新しい道が切り開かれようとしている」と語るのは、映画ジャーナリストの和田隆さんです。今回は和田さんの著書『映画ビジネス』から一部を抜粋しお届けします。

ミニシアターとは

映画館を語るうえで、シネコンとともに外せないのが、ミニシアターです。ミニシアターとは、「単館系」とも呼ばれる、独立した形態の映画館で、オーナーや支配人の独自の視点や基準で上映作品を編成しています。それぞれ上映作品に好みや特徴があり、そんな映画館自体に固定ファン(会員)が付いています。

また、シネコンの売店とは違い、映画館の雰囲気と一体化したような個性的なカフェを併設したり、独自のグッズや映画関係の出版物を販売するなど、映画館が独自の映画ファンコミュニティを形成する場となっています。

1980年から2000年代にアート系の作品を中心に上映し、ブームを巻き起こしたミニシアター(単館、アートハウス)。ブーム後、2000年代に入ると、多くのミニシアターが次第に閉館を余儀なくされました。

現在はない渋谷のシネマライズ、シネヴィヴァン六本木、吉祥寺バウスシアター、岩波ホールなどは、館内に足を踏み入れた途端、ロビーから独特で個性的な、映画愛に溢れた雰囲気にのみ込まれ、場内のシートに身を任せて、未だ見ぬ世界との出合いに心を躍らせたことを思い出します。

ミニシアターのブームとは、その魅力とはいったい何だったのでしょう。