手前右から時計回りに、前菜の「ヨシキリザメ胸ビレの冷製」「よだれ鶏」「あん肝の香料醬油煮」。フカヒレは戻してから上湯スープで蒸し、下味をつけた後、エシャロットソースで和えている。奥右は「点心2種盛り」。“フカヒレ蒸し餃子と”“豚肉と海老の香港風焼売。写真の料理はすべて6000円のランチコースから。

 

週末限定の昼コースをのんびりと

陽だまりの暖かさに春の訪れを感じる今日この頃。ときにはおいしい料理をいただきながら、のんびり過ごす週末も悪くない。そんな折、足を向けたい一軒が、新富町「湯浅」だ。

オープンして1年と新しいものの、オーナーシェフの湯浅大輔さんは、ミシュランの星を持つ中華の名店「桃の木」などで修業を積んだ実力派。この店では、中華の軸は外すことなく、日本の旬の素材を生かした自分らしい料理を、と日々精進している。

中でも力を入れているのは「中華の王道とも言うべきフカヒレの料理」だそうで、すでに処理済みのフカヒレを使う店が多いなか、きちんと原ビレから戻している。その種類も、ゼラチン質のねっとりした食感が人気のヨシキリザメや、ヒレの繊維が太くプリプリと麺のような歯ざわりのアオザメなど、常時6種を用意。
 

「キジハタの大豆ソース蒸し」。自家製の豆酥醬と共に蒸し、クミンやガーリックが入ったスパイス風味のパン粉をふりかけている。コースは、この他に「黒酢の酢豚」や「フカヒレ煮込みそば」などの麺類とデザートがつく

 

「フカヒレは、手間をかけた分だけかえってくる素材。料理によって使い分けています」と湯浅シェフ。

例えばランチのコースでは、前菜のフカヒレの冷製にはやわらかなヨシキリザメの胸ビレを。一方、しめのフカヒレ煮込み麺は繊維質が太いヨシキリの背ビレのほぐし身を使うといった按配だ。滋味溢れるその味は、心の栄養補給にもうってつけだろう。