これからどういう職業がなくなってゆくのか?

とはいえ、少しは情報を差し上げないといけないので、知っている限りのことをお話します。

アメリカでは連邦政府機関が「これからどういう職業がなくなってゆくのか」ということについての科学的なリサーチをちゃんと実施しています。

今手元にあるのは、2020年に世界経済フォーラムが実施した「これからの5年間でどのくらい職業構成が変わるか」についての調査報告です。

これはまだコロナの感染が広がる前の話で、職業構成の変化の主たる要因はAIです。AIの導入とロボット化で、どれくらいの仕事がなくなるかという話です。

雇用の消失について、僕が見た最も楽観的な数字が14%、最も悲観的な数字が52%でした。

業種ごとに2020年から2022年までにどれくらい雇用が失われるのか。一番大きいのは金融部門です。20%。製造業が19%。情報産業が17%。

一方で、AIが進んでもそれほど雇用が減らない分野があります。AIやロボットでは代替できない生身の人間にしかできない仕事です。

医療・介護、それと教育です。医療と教育は人間社会を構成する根幹部分ですが、この根幹部分は機械では代替できません。

もう一つ、AIでは入れ替えが利かないのが行政です。医療、教育、行政。

これから社会はどんどん変わりますけれど、この三分野については雇用が大きく減ることはないというのが、アメリカでの統計の結果です。

 

医療と教育は人間社会を構成する根幹部分(写真はイメージ/写真提供:Photo AC)