「家の墓」には入りたくない人もいる

だが、統計資料によると都市部に住む人の半数以上が墓を所有せず、どこに入るか決まっていないという。そんな中には「家の墓」には入りたくない人もいるだろう。そう、私のように。一般的な選択は、家族や先祖代々の墓に入るというところなのだろうが、私はこれが嫌なのだ。

こう書くと「あら、ご家族やご親類と険悪なのかしら、ワクワク」みたいな期待もとい誤解を生んでしまうかもしれないが、そうではない。

(写真提供:Photo AC)

そもそも墓そのものに入りたくない。理由は特にない。あえて言うなら、焼かれた後のカルシウムになってからとはいえ、ジメジメした冷たい場所に、土にも還れない状態で放り込まれるのが、どうもしっくりこないのだ。死んだら終わりって思っているなら、お骨がどこに入ろうがどうでもいいんじゃない? という話ではあるのだが、どうにも何かが嫌なのだ。死んだ後、腐りたくないのと同様、「嫌なものは嫌だ」レベルの我儘なのである。

もう一つの理由は、よほど裕福かつ多産な一族でもない限り、墓なんぞ百年も保たずに合祀されてしまう現実を知っているからだ。