(写真提供:『マ・エノメーリ』/KADOKAWA)
1992年吉本新喜劇に入団し33年。コメディアン、歌手、舞台など多才な活躍を続けている藤井隆さん。独特の空気感で時代を軽やかに駆け抜ける藤井さんは、日々どんなことを考えているのでしょうか。「人付き合い」「仕事」「生い立ち」など様々なお題に答える形式で綴った書き下ろしエッセイ集『マ・エノメーリ』(KADOKAWA)から、一部を抜粋して紹介します。

Q. 観客を目の前にするコンサートや舞台中はどのようなことを考えていますか?

芝居の時は芝居のことだけ考えるように心がけています。

歌のステージの時はお客さまをめちゃくちゃ意識してます。過去のツアーTシャツやファンクラブのTシャツを着てくださってる方を見つけると嬉しくなります。

「いつも来てくれてはる〜」「今日も来てくれてはる〜」とか歌いながら思ってます。MCの時間は完全に意識してます。

たまに関係者席じゃないエリアで知り合いのスタッフさんを見つけたりしたら、驚いてこけそうになります。

初めてコンサートをした時にレコード会社の社長さんに「ステージではお客さまをしっかりと意識してくださいね」と教えていただきました。

リハーサルスタジオでは鏡の前で歌ったり踊ったりするのですが、それもなんだか気恥ずかしくてもじもじやってたからだと思うのですが、出来る自信がまったくないまま初ステージになったのを憶えています。

今でも必ず緊張しますし、歌詞やMCとかやらなきゃいけないことの連続で頭の中はずっとバタバタ走り回っているのですが、社長が教えてくださった「お客さまを意識する」理由はステージに出て行った時にわかった気がしました。