人間らしい魂
やがて戦争は終わり、シュピルマンは生き延びてピアニストに戻ることができたが、戦争犯罪人となったドイツ人将校のホーゼンフェルトは収容所で亡くなったと映画は伝える。
それは映画の最後、1行の字幕で伝えられるのみだが、私は彼のその後が気になって、ホーゼンフェルトの手記まで探してしまった。シュピルマン自身は戦後彼の行方を追い、助命しようと動き回ったようだが、情報を得た時、ホーゼンフェルトは既に亡くなっていた。しかし、彼の残した家族たちとは会うことができ、その後深い交流が続いたようだ。
ホーゼンフェルトの手記は『「戦場のピアニスト」を救ったドイツ国防軍将校』(白水社)という書籍になっているので、是非ご一読いただきたい。勿論シュピルマンの原作は、邦題『戦場のピアニスト』(原題『ある都市の死』(春秋社))がいくつかの出版社から出ているので、ぜひ探してみてほしい。
戦争は私達のすぐ隣にある。彼らの姿は明日の私たちのそれだ。私達は、もし戦争に巻き込まれても、「人間らしい魂」を失わずに生きていけるだろうか?
そのことを、この映画は深く問いかける。