手持ちのカードで自分に合ったゲームを
森山未來くんとは、「新奇探索性」について話しました。人間は、今いる場所が安全なのにわざわざ高い山や深海、宇宙といった危険な場所へ行こうとします。それが人間独特の新奇探索性です。
海に暮らすホヤは、幼生のときは波間を漂って固着先を探し、居場所を定めたらあとは餌を食べるだけで一生を終えます。安心できる場を飛び出してしまうのはなぜかと悩む未來くんも、ホヤの幼生のような存在です。
ふわふわと固着できないからこそ、俳優・ダンサーとして新たな挑戦ができる。それも個性で、才能なのです。
このように、人はそれぞれカードを持っています。手持ちのカードを把握し、自分に合ったゲームをすればいい。持ち札がキングとエースならブラックジャックをすればいいのに、七並べをしようとするから悩んでしまうのです。
世にあるたくさんのゲームから、自分に最適なものを見つけてみてはいかがでしょうかと、人生相談を通して皆さんに提案しています。
悩みを持つのは、悪いことではありません。「最近、腰が痛くて」といった小さな悩みは、コミュニケーションツールにもなります。私たちは、トカゲの尻尾のように切り取ってもいいものを差し出し合い、関係を築いている。
悩みも自分のカードだと思えば、深刻になりすぎずに付き合えるのではないでしょうか。