動物の病気はいつ起きるかわからない。徳田先生の病院では365日診療の態勢だ
Q. 医療費はどのくらい?
A. 医療費は病院によっても違うし、地域によっても違います。また、持病を持っている子と、丈夫な子の場合でも、生涯の医療費はかなり違ってくるでしょう。ただ大まかに言うなら、治療費だけでなく予防注射、避妊・去勢手術、餌代等すべて含めて、犬が200万円、猫なら100万円ぐらいを目安に考えてください。

いまや獣医療も進歩しています。たとえば腫瘍が疑われる場合、飼い主さんから「なぜすぐにCTを撮らないんですか!」と催促されることもあれば、「動物にCTなんて必要ですか?」と拒否されることもある。だからペットにいくらお金をかけるかも、その人の考え方で差が出てくるのです。

また、医療の選択肢が広がったことで、どこまで治療を行うべきか悩むケースも増えました。高度医療が受けられる施設もありますが、その分高額な費用がかかので、当然、飼い主さんの経済的な負担も大きくなります。
《獣医師のホンネ》

終末期医療との向き合い方

いくら医学が発達しても、生き物はいつか必ず亡くなります。

延命治療は、治ることはない動物の命を延ばすためだけに行われる治療です。場合によっては、ペットの痛みや苦しみを長引かせることもある。最優先すべきは、ペットのQOL(生活の質)です。

どういうタイミングで何を選択するか、「正解」はどこにもありません。獣医師としても、常に「これでよかったのかな」と考えますものね。

ペットが苦しむ姿をこれ以上見たくないと、安楽死を望む飼い主さんもいるでしょう。その気持ちはよくわかります。でも、もしこれが自分の親や子だったらどうでしょう。積極的治療を諦めることはあっても、「安楽死させてください」と言う人はいないはず。動物になると、人間は本音が出るんですね。しかし安楽死は後々まで飼い主さんの心に重いものを残すので、私は基本的には勧めないし、言わせたくない。可能な限り自然に近い亡くなり方が望ましいと思っています。

しかしこれもさまざまな考え方があるので、納得するまで獣医師と話し合うほうがいいですね。悩んだら、ほかの医療機関でセカンド・オピニオンを取ることをお勧めします。3つぐらいの動物病院で聞いていいと思う。大切なペットのことなので、いろいろな意見を知ったうえで、納得のいく判断をしてほしいのです。

獣医師に聞く「ペットを飼うなら知っておきたい『いざという時』の心構え」
【健康編】不調や病に気づくためのポイントを知る
【介護編】老いてきたら、ケアの仕方も変わります
【災害編】置き去りにせず、一緒に逃げて