発病の原因は不明。あなたにも可能性が
ひとくちに白血病と言っても、30種類以上(WHO〔世界保健機関〕の世界疾病分類)もあるのをご存じですか? 病気を引き起こす遺伝子の解析が進み、新たな治療法が見出された結果、どんどん細分化が進んでいます。大別すると、急性と慢性の骨髄性白血病、急性と慢性のリンパ性白血病の4種類。
「血液のがん」と称される通り、この病気になると、異常な白血球細胞が増殖します。その結果、赤血球、白血球、血小板という正常細胞が減少し、貧血による倦怠感、動悸、息切れや発熱、痣などの出血性症状が表れる。これらが初期症状です。原因は不明で、生活習慣などとの因果関係は認められず、遺伝もせず、感染もしません。
正常な骨髄には白血球や赤血球、血小板などさまざまな形の細胞が存在している(血小板は小さいのでこの写真では確認できない)
見方を変えれば、誰でも、どんなに気をつけていても発症する可能性はあります。急性骨髄性白血病の罹患率は5万人に1人程度と、それほど高くない。非情な言い方ですが、かかったら運が悪かったと考えるしかないのが現実です。
がんは早期発見が重要とされますが、白血病に関しては、それは意味を持ちません。「早期の白血病」というものが存在しないためです。胃や大腸など特定部位に巣食う固形がんと違い、「血液のがん」は、見つかったときには、すでに全身を巡っています。発見即ステージIVというのもこのがんの特徴と言えるでしょう。
でも、治癒率は決して低くない。成人で最も多い急性骨髄性白血病で、40~50%の方は完治します。がん全体からすると真ん中ぐらいの数値なのですが、今説明したように白血病は進行がんです。同様のステージにある固形がんの治癒率は5~10%なので、圧倒的に「治るがん」と言っていい。病が見つかって動揺する患者さんには、そう説明して、「治療を頑張りましょう」と話すのです。