高大接続改革が目指すもの
一般入試の比率が下がっている背景には、学校が育成することを目指す資質・能力が変わっていることが挙げられます。
文部科学省によれば、育成すべき資質・能力は、生きて働く「知識及び技能」、未知の状況にも対応できる「思考力、判断力、表現力等」、学びを人生や社会において生かそうとする「学びに向かう力、人間性等」という3つの柱で構成されています。25年の大学入学共通テストの内容もできるだけ3つの柱を評価するために教科ごとの問題でグラフや資料の利用が増え、学んだ内容を使いこなす実践力を重視するように変わりました。
しかし、この資質・能力はペーパーテストだけで測れるでしょうか。難しいでしょう。だからこそ、資質・能力の3つの柱を中心に多面的に評価する総合型選抜入試が導入され、その割合は徐々に増えてきているのです。また、入試というと年明けにおこなわれるものだという記憶がある方も多いかもしれませんが、私立大学では現在、学校推薦型選抜入試などを中心に約6割が年内に入試がおこなわれる傾向があります。
これらの改革は、文部科学省の「高大接続改革」の一環として進められています。この改革は、高校の学びを資質能力の向上へさらに貢献できるものに変え、大学教育への入り口となる受験も変えることで、大学でそれをさらに高める力を身につけることができるシームレスな流れを実現しようとするものです。それによって、VUCA時代をよりよく生きていくための基礎を身につけることができるのです。