生活習慣や既往歴に気をつけて

そもそも高齢になると、なぜ若い頃と比べて骨密度や骨質が低下していくのか――。最も大きな原因は、性ホルモンの減少です。丈夫な骨をつくるためにサポートしてくれていた性ホルモンは、年齢とともに減少してしまいます。

とくに女性の場合は、閉経で女性ホルモンが一気に減少すると、骨をつくる細胞と壊す細胞の働きのバランスが崩れ、骨の吸収(破壊)が骨の生成を上回るため、骨密度が急激に低下してしまうのです。同時に、女性ホルモンがなくなると体内に活性酸素が増えてしまうので、コラーゲンがサビていき、骨質の劣化が進行してしまいます。

人によって程度の差はありますが、これらの変化は誰しも避けられない現象。ですから、自分の骨の状態をきちんと確認しておくことが大切です。

まずは、骨密度から。現在、日本で骨密度を測っている人は、健康診断の受診者のうちわずか5%。X線を使わずに骨密度を測ることは不可能なので、残念ながら市販の体重計についている機能は当てになりません。まずは年に1度、健康診断を受ける際に骨密度検査を受けることを習慣にし、骨への意識を高めましょう。

整形外科のクリニックなどでも検査は可能ですから、手首なら手首、大腿骨なら大腿骨と、毎年同じ部位の骨密度を測り、前年の数値と比較して著しく減っていないかチェックするようにしてください。

その結果、骨粗しょう症と診断されたら、骨折のリスクを避けるためにも、治療を受けることをおすすめします。40代後半以降は若年成人(20~44歳)の平均骨密度と比較して80%以上であれば心配ないでしょう。