骨質に関しては、残念ながら現時点で、一般的なクリニックや健診機関では正確な数値を測ることができません。では、自分の骨質の状態をどのように判断すればいいのかと言えば、生活習慣や既往歴が手がかりになるのです。
骨質低下が疑われる例として、糖尿病、慢性腎臓病(CKD)、慢性閉塞性肺疾患(COPD)などの生活習慣病を抱えている人や、まだ「病気」のレベルには至らなくても数値が黄信号の人は危険ゾーン。骨質も低下していると思われます。
これらの生活習慣病は活性酸素による酸化ストレスが主な原因なので、どこか1ヵ所がサビているということは、骨も……と、考えられるからです。
高血圧や動脈硬化も、加齢で血管のコラーゲンが劣化することが原因ですから、骨質を左右するコラーゲンも同様に劣化していると考えられます。
また、丈夫な骨を育む女性ホルモンは、卵巣だけでなく脂肪組織でもつくられていますので、痩せすぎでBMIが18.5以下の人は、骨密度の数値に関係なく、将来、骨が折れやすくなる可能性が高い。
反対に、BMIが30を超えている肥満の人も、メタボリックシンドロームが原因で全身の酸化ストレスに拍車がかかってしまうので、骨質にも悪影響を及ぼしていると言えるでしょう。
若い頃に月経不順であったり、婦人科系の病気を患ったりして、手術で卵巣を摘出した人も要注意。閉経前から女性ホルモンの分泌量が不足しがちなので、骨質の低下が早めに進むケースが目立つのです。
また、喫煙は女性ホルモンの働きを悪くし、カルシウムの吸収も制御してしまいます。喫煙習慣のある人はない人に比べて、大腿骨近位部の骨折リスクが1.84倍に上ることがわかっていますから、思い当たる人は一度検査を受けてみるといいでしょう。
<後編につづく>