無理に服に合わせようとするのはナンセンス

そしてもう1つ。大人の装いはほかの人のためでもあると思っています。もちろん家の中であれば好きな格好をしていいでしょう。でも外に出るということは、公共の場に出るということ。それは自分の装いが景色の一つになるということです。

他者から見て、いい景色となっているだろうか。ひとりよがりのファッションではなく、ましてや「なんだかなぁ」とほかの人から思われるものではなく、自分にも他者の目にも心地よく映っているだろうか。そうしたことを意識するのは、大人の装いの役目の一つだと思うのです。

『何歳からでも輝ける秘訣』(著:藤原美智子/主婦の友社)

たとえば大人がカジュアルな服をおしゃれに着こなしていると、若い人の目には「カッコイイ! 私もあんな大人になりたい」と映るようです。そうしたアイコンに当てはまる人といえば、アメリカのファッションブランド「ラルフ・ローレン」のデザイナーであるラルフ・ローレンの愛妻、リッキー・ローレンでしょうか。

彼女のカジュアルな姿には清潔感はもとより、品性と凛とした美しさを感じます。だから格好よく見えるのでしょう。とはいえ、もう少し砕けているほうが今っぽいとも思うのですが、いずれにしろ清潔感と品性と凛とした美しさは、大人のカジュアルにはマストだと、彼女の写真を見るたびに気づかされます。

さて、冒頭の「若い頃の服が似合わなくなった」に対する私の考えは、「その服を手放して、今の自分が無理なく似合うスタイルを再構築しましょう」です。

「それができるなら苦労はしない」と言われそうですが、後ろを眺めているよりも「しょうがないことは、しょうがない」と割り切って、スパッと前を向いたほうが精神的にもラクチンです。それに自分にではなく、無理に服に合わせようとするのはナンセンスなことのように思います。

服は、今の自分を素敵に見せるラッピング。それが合わなくなったなら、違うラッピングにすればいいだけのことなのですから。