日本社会の縮図であるともいえる

男性同士のコミュニティのなかでは、一体感や絆を深め合うために女性をモノのように扱うことで「男らしさ」をアピールする言動がしばしば見られます。

この加害生徒の盗撮のような違法行為に及ばなくても、女性を路上でナンパする、会社で上司とキャバクラや性風俗に連れ立っていく……などバリエーションはさまざまです。

最近では、日本の企業や芸能界で権限や権力のある男性に女性を「上納」していたことが週刊誌で報じられ、社会問題にまで発展しました。

(写真提供:Photo AC)

形は違えど、「自分たちは搾取される側ではなく支配する側なんだ」と示すことができる点は共通していますし、盗撮をした男子生徒の場合も、「有害な男らしさ」に過剰適応した末の犯行だったといえます。

さらに最近では学校内で盗撮した画像や動画を生成AIを用いて加工し、それを転売するという悪質なディープフェイク事案の報告も現場では耳にします。

現代の盗撮はデジタル型性犯罪の最前線であり、日本社会の縮図であるともいえます。

※本稿は、『夫が痴漢で逮捕されました 性犯罪と「加害者家族」』(朝日新聞出版)の一部を再編集したものです。

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夫が痴漢で逮捕されました 性犯罪と「加害者家族」』(著:斉藤章佳/朝日新聞出版)

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