数ある犯罪のなかでも、とりわけ性犯罪の加害者家族は世間から白眼視されやすい傾向にあります。SNSで個人情報をさらされるなど、「私刑」に遭うケースも少なくありません。今回は、精神保健福祉士・社会福祉士で、依存症回復施設の榎本クリニックに勤める斉藤章佳先生の著書『夫が痴漢で逮捕されました 性犯罪と「加害者家族」』から一部を抜粋し、ご紹介します。近年、性犯罪の加害者家族から寄せられる相談のなかで、特に増えているのが「盗撮」の事案だそうで――。
盗撮で「男らしさ」を認め合う
私が所属するクリニックにつながるケースに関していえば、中学生より高校生の相談件数が圧倒的に多い傾向にあります。
中学校よりも高校のほうがスマホを学校に持ち込んでもよいケースが多いからだと思いますが、なかでも典型的なのが、男子生徒が同じクラスの女子生徒を興味本位で盗撮するというものです。
過去には、リーダー格の生徒から「お前、クラスメイトをこっそり撮影してこいよ」などと度胸試しのように指示を出され、それがきっかけで盗撮行為を繰り返すようになったケースがありました。
指示された男子生徒は、それを拒否していじめのターゲットになることを恐れて、盗撮行為を始めたといいます。彼は盗撮した画像を見せた他の男子たちから「お前すごいな!」「度胸あるな」「さすが男だな!」と称賛されたそうです。