父の思いを叶えることができてよかった

実はこうした作業は、息子さんの協力があったからこそできたことです。息子さんは最初、パンフレットの価値が分からなかったものの、父の熱心な説明に耳を傾け、休日を使って整理を手伝いました。二人で数百点あるパンフレットを年代別に分類し、デジタルカメラで撮影して目録を作成しました。

さらに、インターネットを使って落語ファンが集まるフォーラムを探し出し、父親に代わって連絡を取りました。そして、演芸資料館の学芸員からコレクションを評価してもらう機会も設けたのです。

『モメない相続でお金も心もすっきり!親子終活』(著:伊藤勝彦/あさ出版)

葬儀を終えてしばらくたった頃、息子さんは「あの紙切れにそんな価値があるなんて思いもよりませんでした。父が相談してくれなかったら、資源回収に出してしまうところでした」と話してくれました。「父の思いを叶えることができてよかったです」とも語っていました。

もしも親だけで趣味のコレクションを整理していたら、上記のようにはうまくはいかなかったでしょう。親子終活では本人の大切にしてきた思いを理解し、それを実現する方法を一緒に考えることができるのです。