意識しなければ、自律神経の機能低下はとまらない
某大学の女子学生103人を調査したところ、一見ほっそりしているけれど、実は体脂肪率が高い「隠れ肥満」とその予備軍が50パーセント、低血圧が35パーセント、冷え性が21パーセントにもおよびました。肥満はもちろん、血圧の調整と体温調節も自律神経がおこなっていることを考えると、これらの原因は、自律神経の機能低下だと考えられるでしょう。
加齢の影響を受けないはずの大学生の中にも、自律神経の機能が低下している人がこんなにもいるのです。
また、高度に発達した現代文明の“おかげ”で、自律神経の機能低下に悩まされる人は、これからますます増えていくと私は考えています。
快適な住環境は、私たちの体を「温室育ち」にします。冬でも夏でもエアコンで快適な気温が保たれているために、自律神経を使って体温調節する必要はありません。さらに、電車、バスなど交通網が発達すればするほど、歩く機会が減ります。
徒歩圏内のスーパーへ行くにも車を使い、通勤はもちろん電車。しかも、仕事ではパソコンの前で朝からずっと座りっぱなしの毎日……。これでは、自律神経が働く機会がありません。
自律神経をもっとも活性化させるのは、体を動かすことです。ところが、現代人の多くは運動不足に陥っている。
意識して自律神経を鍛えなければ、これからも自律神経の機能は低下するばかりといえるでしょう。