目の前であの朝ドラ受けが…
6月25日の午前8時過ぎ、NHK放送センター(東京都渋谷区)にある『あさイチ』の収録スタジオにお邪魔した。広報に案内してもらい、スタジオに足を踏み入れる。まもなく始まる生放送に向けて、スタッフは準備の真っ最中。MCを務めるお笑いコンビ「博多華丸・大吉」の2人と、鈴木アナが見つめているのは、朝ドラこと連続テレビ小説『あんぱん』が放送されているモニターだ。会話を交わすことなく画面をじっと見つめている。
午前8時15分、大吉さんの「6月25日水曜日のあさイチです」というあいさつで番組がスタート。MC3人による朝ドラの感想、通称「朝ドラ受け」が目の前で展開された。
直前に放送されたのは『あんぱん』第63回。ヒロイン・のぶ(今田美桜)と4年ぶりに再会した嵩(北村匠海)が焼野原で語りあう内容だ。教師として子どもたちを戦地に送ったことに苦しむのぶに、嵩が「死んでいい命なんてない」と励ます回だった。
「今週、我慢していたんです」と上を向き、涙をこらえる鈴木アナウンサーにさっとスタッフがティッシュペーパーを差し出す。そこに大吉さんが「本番直前に、『大丈夫ですか?』と聞いたら大丈夫だと言っていたのに!」とつっこんだ。スタジオ内に笑いが起こる。おなじみのこの「朝ドラ受け」のやり取りは、インターネットの記事になることも多い、人気コーナーだ。
朝ドラ受けが終わると、特集がスタート。この日は「配偶者との死別 ”ひとりを生きるヒント”」。ゲストはタレントの榊原郁恵さんと俳優の的場浩司さん。専門家として登場したのが、配偶者を亡くした人たちで作る「没イチ会」を主宰する小谷みどりさんだ。
スタジオ内のカメラは有人が4台、無人が1台。カメラマンを入れて、スタジオにいるスタッフは20人ほどだろうか。スタジオの外には、プロデューサーやテクニカルディレクター、タイムキーパー、照明担当者が詰めている部屋があり、モニターを眺めながら指示を出したり、作業をしたりしていた。