「なぜ俺じゃないんだ」の一瞬にあふれ出たもの

意知の命が尽きた後に、父・意次から言われる「なぜ俺じゃないんだ」というセリフ。

意知自身は死んで聞こえていなかったかもしれませんが、もちろん僕自身は聞いているので…(笑)。苦しかったですね。

(『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』/(c)NHK)

そもそも悲劇の結末を迎えた最大の原因は、意次が政言から預かった系図を庭の池に捨ててしまったこと。

その後も度々「佐野を引き立ててもらえませんか」と意知から頼まれていたのに、検討すらしなかった。

そこを意次が汲みとっていたら、もしかしたらこの結末にならなかったかもしれない。

意次もそのことを痛いほど分かっていると思うので、佐野に対する恨み以上に、自分の判断や過ちのほうを後悔して…。それがあの一瞬の場面に、あふれ出ていたのではないでしょうか。