渡辺謙さんはやっぱり「父親」
意次役である渡辺謙さんから学んだことは本当に多かった。とにかく優しい方なので、しっかりと教えてくれるんです。
収録の合間でも「そのセリフはこう言った方がいいよ」「ここを強調した方がいい」と、謙さんが見て感じたものを共有してくださる。もちろん良かったところがあれば、それを認めてくれて「それでいこう!」と。実際、そんな感じで2人で話し合い、ドラマを良くすることが出来たように思います。
一方で、そんなやりとりができる方は稀有とも感じていて。
俳優それぞれが、それまで培ってきたノウハウやスキルは、ある意味で「商売道具」。それを誰かと共有するということは、自分の財産を分け与えてしまうようなもの。
なのに謙さんは惜しみなく共有してくださるし、適度な緊張感を周囲へ与えても、近寄りがたい存在ではない。むしろ自然とお話をしたくなるし、いろんなことを聞きたくなる。
『べらぼう』の収録で行き詰まった時、どうしたらいいかわからない、なんて悩んだ瞬間、真っ先に相談したのは謙さんでした。とても安心感があって、実際に助けてくれる存在。言い表すなら、やっぱり父親、ですかね。