政言と意知は<つながっていた>
そして意知を襲撃した佐野政言の気持ち、これは痛いくらいによくわかりました。
政言が父親に向けた敬意、そして「家を盛り立てなければ」という強い思い。実は意知も、ずっと同じことを考えて行動していた。2人が持っている根本的なものはつながっていた。最終的に、全く別の結末を迎えてしまいましたが。
意知も政言も決して悪い人物だったわけではない。だからこそ、残念で悔やまれますよね。佐野家にとっても田沼家にとっても、たまたま最悪な結末になってしまったんじゃないか。
斬られるシーンは、やはり“アクション”という側面もあって、演じる矢本悠馬さんとは収録する前にもすり合わせをさせていただいたんですが、思いが通じ合ったように感じた瞬間があって。
あの場面、ある程度決まったら、僕はもう本番まで稽古をやらなくていいと感じていたんです。そう思っていたら、矢本さんも同じことを考えていらっしゃっていて。僕が「もう一回やりますか?」とたずねたら、矢本さんが「いや、もういいでしょう」と。
実際、後からあの場面を見直してみて、やりすぎなくてよかったなって。
いきなり斬られる。命からがら、逃げようとする。そんな場面なのに、演技をしすぎると、刀が抜かれる前にどこかで準備してしまったりと、動きが先行してしまうわけです。
そうではなく、突然斬られるという臨場感。斬り合いの中で交わされる2人の目線のやりとり。それからの「覚えがあろう」との台詞。
二人がさまざまな思いを巡らせていたであろうあの時間、あの瞬間を、しっかり映像に捉えることができたのは、演じた自分たちが良い温度感でできた結果のように感じています。