「認知症に効果的」とする広告を鵜呑みにしてはいけない
だからこそ、食品に含まれるこの「成分」は有効ですよと、広告はあなたに近寄ってきます。今回のアーモンドの場合には、ビタミンEでした。しかし、よく考えれば、ビタミンEが仮に有効だとして、不足している人に有効なのか、不足していなくても有効なのか、どのぐらいの量を摂取すれば有効なのかなどといった疑問が生じます。
ビタミンEが本当に有効でも、どのぐらいの量をどのぐらいの頻度で食べれば安全で有効かを知らなければ実用性はありません。薬に、決められた用量・用法があるように。
また、実際には、ビタミンEが認知症予防に有効というエビデンスも確立されていません。アルツハイマー病の患者の認知機能低下を遅らせる可能性を示唆した研究(1)があり、それと話をすり替えて引用されているのだと思います。
逆に、ビタミンEの過剰摂取が死亡率の増加と関連するリスクを示唆した研究(2)もあります。
(1)Sano M, Ernesto C, Thomas RG, Klauber MR, Schafer K, Grundman M, et al. A controlled trial of selegiline, alpha-tocopherol, or both as treatment for Alzheimer’s disease. The Alzheimer’s Disease Cooperative Study. N Engl J Med. 1997;336(17):1216-1222.
(2)Miller ER, Pastor-Barriuso R, Dalal D, Riemersma RA, Appel LJ, Guallar E. Meta-analysis: high-dosage vitamin E supplementation may increase all-cause mortality. Ann Intern Med. 2005;142(1):37-46.