(写真提供:Photo AC)
厚生労働省が発表した「認知症及び軽度認知障害(MCI)の高齢者数と有病率の将来推計」によると、令和4年度(2022年度)の調査では、65歳以上の高齢者における認知症有病率は約12%と推計されるそうです。そんななか、高齢者医療を専門とする医師・山田悠史先生は、認知症になる人とならない人の差ははっきりと白黒分かれるものではなく、「認知症になりやすい⇔なりにくい」のグラデーションであると説きます。そこで今回は、山田先生の著書『認知症になる人 ならない人 全米トップ病院の医師が教える真実』から一部を抜粋し、ご紹介します。

エビデンスをすり替えている健康食品がある

「認知症予防」と聞いて、真っ先に頭に思い浮かべるものは何でしょうか。「健康食品」「サプリメント」「脳トレ」……。そんな言葉がすぐに思いついた人は、少し考えをあらためてみることをおすすめします。それはなぜでしょうか。ここでは、健康食品について考えていきたいと思います。

認知症予防の効果を謳うアーモンド

健康食品の中にも、脳を守り、認知症予防に効果的であると謳われる食品がたくさんあることに気がつきます。

例えば、あるウェブサイトでは、アーモンドが認知症予防に効果の期待できる食べ物として紹介されています。その理由として、ビタミンEを豊富に含むこと、そしてビタミンEが認知症予防に効果的なビタミンであることが挙げられています。さらに、アーモンドを含めたナッツ類は「WHOが認知症予防として推奨する地中海料理にもよく使われる」という説明も添えられていました。

ここまで見ると、科学的な根拠もありそうで、「WHOまで推奨しているなら間違いないだろう」と思われるかもしれません。

確かに、これらの記述はすべて正しいか、完全には間違いとは言えないものです。しかし、「だからアーモンドは認知症予防に有効だ」と本当に言っていいのでしょうか。一つずつ噛み砕きながら解像度を上げていきましょう。