不安を煽るセールストークに注意

自由診療を提供する一部の施設では、「今すぐ対策をしないと手遅れになります」などといった不安を煽るセールストークも使われることがあります。焦りや不安につけ込み、高額なコースを契約させる手法は明らかに問題ですが、当事者となればそのような冷静な判断はできなくなるものです。

また、専門的な医療知識を持たない方に対して、難しい医学用語を多用し、あたかも効果が保証されているかのように説明するケースもあります。「**メソッド」などのネーミングはまさにその典型で、なんとなくカタカナの用語が並べられていると、まるでそれが諸外国では当然のように提供されていて、日本では「まだ」行われていない最先端のもののように感じられるでしょう。

しかし実際には、私も米国で認知症診療をしていますが、認知症領域の根拠に基づくケアに、誰かの名前のついた「**メソッド」など存在しません。根幹となる予防や治療は、日本でも米国でも同じです。

仮にそのような最先端の方法論が存在するとして、1人または少数の医師だけが目をつけ、その人たちが運営するクリニックだけが提供できるなどありうるでしょうか。より多くの専門家が在籍する大学病院や国公立の病院がそんな魅力的な方法論を放っておくでしょうか。

※本稿は、『認知症になる人 ならない人 全米トップ病院の医師が教える真実』(講談社)の一部を再編集したものです。

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認知症になる人 ならない人 全米トップ病院の医師が教える真実』(著:山田悠史/講談社)

軽度の症状の人も入れたら、日本では65歳以上の4人に1人が認知症になる現代。

しかし、認知症になってしまう人がいる一方、80代、90代でも認知症にならず元気な人はたくさんいます。

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