大切な人を守るため苦しい時はSOSを
何より重要なのは、一人で抱え込まずに周りの人に相談すること。たとえ全員にわかってもらえなくてもいい。状況を理解してくれる人が一人でもいると、精神的に大きな支えになります。しかし、じつは誰しも「相談できない心理状態」に陥るリスクを持っているのです。
相談を躊躇してしまう背景には、次のような心の動きがあります。「私がやらなければ」「相談するのは甘えだ」といった義務感や責任感。「まだ大丈夫」「がんばればなんとかなる」といった、相談時期がわからなかったり、介護疲れを自覚できない状態。「たいしたことはしていない」「もっとできるはずなのに」と自分を責める気持ち。これらのセリフが出たらレッドカードです。
「介護疲れで限界」という人に話を聞くと、ショートステイを利用していないことが多いようです。施設に抵抗感を持つ裏には、これまでの努力が無駄になるのではないかという気持ちや、施設で家族がつらい目にあうのではないかという恐れなどが隠されています。
しかしそれは杞憂です。施設を利用しても、決して介護放棄ではありません。いきなり施設入居をさせるのに抵抗があるなら、まずはショートステイを試してみる。ショートステイに抵抗があるならデイサービスから。ゼロか100かではなくて、小さな実験を少しずつ繰り返していけばいいのです。
何よりも避けたいのは、あなた自身が潰れてしまうこと。あなたの大切な人を守るためにも、ぜひちゃんと助けを求めてください。
もうひとつ、「助けて」と同じぐらい大切な言葉が「ありがとう」です。医師や看護師、介護職などの支援者、家族や親族、職場や友人など、あなたのことを見守っている人は大勢います。「ありがとう」と心から伝えるだけで、もっとあなたを支えたいと思う人は、きっと出てくるはずです。
コミュニケーションのコツ
▼普段の様子を写真や動画で記録する
▼家の中を必要以上に片付けず日常の状態を見せる
▼近くの事業所の人を選ぶ
▼つらい時は遠慮せず感情に出して訴える
▼困っていること、それが続くとどうなりそうかを土台に、自分の要望を伝える
▼相性が合わない場合は交代してもらう
▼いま自分がどういう状況か、具体的に説明する
▼「おはよう」「ありがとう」などのひと言を大切に
▼まずは介護休暇を申請し、有給休暇は残しておく
▼伝えるのはポジティブな内容から
▼何が何でも協力を! の気持ちは横に置く
▼相手がすぐにできることをお願いする