不安で、一日に何本も妊娠検査薬を使って

私はもともと薬をあまり飲まないので、相性が悪かったのかもしれませんが、ホルモン剤を使うと、体がむくんでいくんです。ほてりやめまいもひどく、とにかく一日中、気持ちが悪い。

また、ホルモンバランスが崩れ、自律神経が乱れるのです。何かの拍子にワッと涙が出るなど気持ちの浮き沈みが激しく、ほとんど家から出られない状態が続きました。

そしていざ着床したら、今度は受精卵がお腹にいてくれるかが不安で。その存在を確認したくて、一日に何本も妊娠検査薬を使いました。「線が出たから、まだお腹にいる。大丈夫」と安堵する。でも、数時間後にはまた不安になって、検査薬を試し、「線が薄くなってきた。もうダメかも……」。

やらなきゃいいのに、心配でたまらないのです。いったいどれだけの妊娠検査薬を使ったことか。薬局で検査薬を大量買いしたのも一度や二度ではありません。外に出るのも嫌だけれど、家にいたら検査薬にばかり手が伸びてしまう。そんな日々が続き、気持ちも体もギリギリでした。

不妊治療専門の病院に行くと、朝から長蛇の列。待合室で何時間もひたすら待ちながら、思います。この中の何人が妊娠できるのだろう。皆さん、どんな気持ちで今、ここに座っていらっしゃるのだろう……と。

そんな生活が2年を過ぎるころには、私自身、何を目指しているのかわからなくなっていました。私たちにとって妊娠はスタートで、子どもを育てることを頑張っていくはずだった。なのに、いつの間にか妊娠がゴールになってしまっていたのです。

それに、不妊治療には本当にお金がかかります。仕事を休んで治療する間に、貯金がどんどん減っていく。このまま治療を続けていつか妊娠できたとしても、そのときの自分たちには、気力、体力、お金、何ひとつ残っていないんじゃないか……。

そう思っても、やめどきが難しいのが、不妊治療の悩ましいところ。「次こそ成功するかも」と、どこかで望みを捨てきれないのです。