斬りかかるシーンの裏側
斬りかかったシーンについて。そもそも体格差があるので、不意打ちしないと殺れないな、と思っていました(笑)。
もとはいったん呼び止めて、それから刀を抜いて斬りかかる…といった流れだったんですけど、それよりは普段通りに挨拶した後、いきなり斬りかかる方が面白いかなって。とにかく“段取り”には見せたくない、という意識がありましたね。
「べらぼう」の時代は、戦国時代のような、物騒な社会ではもうない。一応は侍も刀を持っているけど、それを抜くのはなかなかの異常状態。殺人が日常的に起こるものではない、という意味では、それこそ現代に近い状況だったのかも。
その分、刀に対しての緊張感じゃないですけど、斬る政言も慣れていないし、斬られる意知も慣れていない。その空気感を出したかったし、綺麗な“殺陣”にはしたくないというのがあったので、1、2度緩く合わせたら、あとは本番でやろうって。
宮沢氷魚君もその提案を受け入れてくれたし、それで実際、生々しいものにできたと感じています。